小 説
ポチよ
泣かないで

 

 

T少年 U青春 V完結

田口紀生/
ほのぼの童子
予告編(省略・抜粋

第1話は少年の未来宿命を暗示する部分

 スクロール  下に

物語は弟まこと
少年期の記憶を元に
想定 フィクション小説

T 少年編 

 

 1話  風の記憶


 昭和二九年、狛犬の地形の前足にあたる小さな海岸沿いの村に、「信(まこと)」という男の子が生まれた。

まことは物心がつくようになると、兄の私(紀生のりおのあとを追ってヨチヨチと歩くようになった。

は九歳年下のそんな弟が可愛くなって、(いい遊び相手になるぞ…)と思い始めていた。 

やがてまことが六歳になった時、彼の未来を暗闇に引きずっていくきっかけとなる、ある不思議な事件が起こった。

 その日は足元から底冷えする寒い朝だった。

 「のりおー!」

母親の「チカが、妹の授業参観に行く為に、着物に着替えてから、二階に上がって来た。

 

 …略    スクロール↓ 

 「のりおー、母さんは出かけるけんね。あと頼んだよー」

試験勉強中だった、のりおは机に向かったままの姿勢でと生返事をした。

 「うーん」

チカ襖の前でふと振り返ると末っ子のまことが、祖母ゼンのタンスの前にポツンと座っていた。

 (あら…?)

まことの様子がおかしいのに気がついて、チカはしばらく見つめた。 

 …略

 
まことは、膝を抱いて丸くなり、寒さに耐えながら、ブルブルと小刻みに震え、歯をガチガチさせていた。

 「おかしかねー・・・ほら、のりお、ちょっと見なさい。まことが寒 がっとるから。」

のりおは、勉強を中断して机から離れて、襖の横からまことの震える姿を見た。

 「おっ」

 「あんた、火をおこしてコタツ を入れてあげなさい」

 「う、うん…」

チカのりおに細かく指示して頼むと、妹のかつえの授業参観にすぐ出かけていった。
 

 「まことー、ちょっと待ってろよ」「う…ん」

のりおは早速、押入れの前に敷布団を敷き、その上に瓦コタツ を静かに置いた。炭火をおこすために、いそいそと階段を降りていった。 

 …略

 やがてのりおは瓦コタツの中央に、赤い炭火を丁寧に移すと、上から掛布団をかけた。

「よーし!出来たぞー、さあ、まことー入れ!」

まことは暖かい布団に滑りこむように潜り込むと、すぐ安らかな表情になった。 

それを見届けたのりおも、すっかり安心して襖を閉めて隣の自分の部屋で再び勉強を始めた。

 …略

 …略

 誰かに見られているような気配がして、まことはふと左の床の間に顔を向けた。

そこには台の上に立てかけてあった遺影写真が見つめていた。16歳で志願して満州に出征した兵隊姿の叔父(芳喜)と目が合った。

 (ん…何だろう…?)

その意思を探ろうと、しばらく兵士の目を見つめていたが、突然胸をかきむしりたくなるような激しい胸騒ぎに襲われた。

険しい茨(イバラ)のような霊に支配された時、写真の兵士がフワッと動いたような気がした。 

まことは恐ろしくなり、咄嗟に目を背けて布団を被った。
 

 

 炭火の入った瓦コタツを強く抱いて丸まり、恐怖の思いを必死に忘れようとした。 

闇の中にくすぶる赤い炭火を見つめながら、ただ心臓だけが
「ドキン・ドキン・・・」と早鳴りに脈打っていた。

 …略

 もはや誰の助けを呼ぶこともできず、あきらめてじっと耐えていたが、次第に意識が薄れていった。

まことは不思議な息苦しさの中で、いつしか心地よい深い眠りの世界に入っていった。
 

 

 どの位の時間が過ぎたのだろうか…まことは日なたで猫と遊んでいる夢を見ていた。

その頃、母チカは妹かつえの授業を参観していたが、急に何か激しい胸騒ぎを感じて、教室を途中で抜け出して早めに帰って来た。 

 …略

 ゼンがおそるおそる二階に上がって見たが、布団が一枚あるだけで辺りはシーンと静まりかえっていた。

 (あら?、おらん

孫が隠れていそうな布団を見つけ、静かにめくってみると、全身肌を桃色に染めて丸くなっている孫の姿を見つけた。

 …略

 「まことー!まことー!」

 「ああ!、チカさん!チカさーん!」
 


 …略

 「チカさん!まことが死んだごとなっとるばい!」

まことを抱えたゼンが叫んだ。 

 …略

 「まこと!まことー!」

頬を何度たたいても起きなかった。チカはすぐに決意した

 「婆ちゃん!うちがすぐ病院に連れて行きます」

チカは大急ぎで階段を降りていった。

その時、兄ののりおは隣の部屋で勉強していたが、急いで追いかけて降りて来た。だが、チカの背中でダラリと死んだようになった弟の姿を見ると、みるみる血の気が引き、青ざめた顔になった。

 

 

 チカまことを背負って慌ただしく玄関から駆け出した。

近くの橋に差し掛かった時、突然海の方から冷たい風が ピュウゥゥー…と強く吹きつけた。

まことを包んでいた暖かい靄(もや)を一瞬に吹き散らすかのように、チカの背中を通り抜けていった。

 …略

 

予告編   つづく・・・
 ポチよ 泣かないで  T 少年編  一部紹介

読むと危険 条件付

体験講座(予告編)
文・節を省略・限定

第T章 少年編

第U章 青春編

第V章  完結編

本講座にて公開中 

予告編

限定版

1・34・・7・・11・・16・・25・・
 

T少年編
 1  風の記憶
   さまよう猫
   ポ チ
   正義の使者
 11  妄 想
 16  英霊の塔
  U青春編
 25 祖母の遺志

限定公開
.3.4.7.11.16.25..)




ごあんない
少年の未来を暗示する事故、まことを襲う暗闇、光を求める放浪の旅が小説のテーマです。
風の記憶から始まる脳の封印 障害を負った少年の心によぎる生きる課題と意味を尋ねる旅。
この場面は特に、なぞとき講座でも引用解説する、閃きを生む重要な記憶の回想シーンです。
引用場面には、謎解きの手がかりが潜んでいます…全体を通してお読み頂けば見えてきます。
まことを包む靄を一瞬で吹き散らしたの正体は…?

 全ての謎は 本編 本講座 



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まことは苦悩の果てに忠霊塔の闇に非情の道を行くことを誓う いつしか英霊の待つ閃きの訓練の道へと導かれていく…

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